人生はゴネ得

2024/06/24

荒木建策(放送作家/アリゴ座主宰)

人生はゴネ得。

例えば、家電量販店。
ゴネたら多分、
いや、絶対、
安くしてもらえるし、
全然知らんけど、
キャバクラとか、
お水のお店も
ゴネたら安くなりそうな気がする。
ゴネ得。

通用しないのは、
パッと思い当たるところだと、
白バイ相手くらいだけど、
うちの母は、
白バイに止められて、
ゴネた結果、
罰金を安くしてもらっていた。
ゴネ得。

ただ、
ただ!
私に関してだけ言えば、
道徳心が
性格、気質が、それを許さず、
日々、損をしながら
生きているのである。
まぁ、損と思ってないからいいのだけど。

先日、渋谷の喜楽で、
(がっつり店名出させてもらいますが)
もやしワンタン麺を注文した。

しばらくして、
「はい、もやしワンタン麺の方」
という声が掛かったので、
「あ、はい」
と言ったら、
私の前にラーメンが来た。

コレコレ!
などと思って一口食べた瞬間、
「ぐぬぬぬぬ」となっている
客がいるのに気付いた。
あっ、と察した瞬間だ...

彼が発したのは、
「注文したの、
こっちが先ですよね?」

そうだったんだ...
俺より先に
同じの注文してた人がいたんだ...
気まずっ...

んで、このラーメン
どうしたらいい??
となって、
しばらく箸を付けずにいると、
多分、いい人の彼は、
「どうぞ、お先に」
と言ってくれたのだが、
めちゃくちゃ気まずく、
多分、いい人の彼は、
私ではなく店員さんに怒りをぶつけている、
ような顔をしている。

「あ、すみません」と
食べることにしたのだが、
全く味を感じなかった。
(せっかく10年ぶりに喜楽に行ったのに!!)

その後、
何故か、注文を飛ばされた彼は、
ゴネにゴネて、
結局お会計は無料。

めっちゃすすってたやん...。

正解を考える。

行きついたのは、
フリーザのモノマネ。
「一旦、私が食べさせてもらいますよ
ザーボンさん」
これが言えたら、
もしかしたら、
全部上手くいっていたのかもしれない。