全然面白いコラム
2024/07/22
荒木建策(放送作家/脚本家)
「全然」という言葉がある。
一般的には「全然~ない」という具合に、
語尾に打ち消しの意味を伴う用法が
正しいとされており、
「全然おいしい」とか
「全然大丈夫」などの
使い方は誤用が慣用化して
定着したものと言われている。
というか、先日まで
私もずっとそう思っていた。
ところが、
とある作家の後輩が「全然」の用法について
詳しく調べたところ、
明治の文豪はごくごく普通に
「全然正しい」や
「全然同意する」などという文章を残しており、
どうやら「全然~ない」の形で
使われるようになったのは、
戦後らしいということが判明した。
つまるところ、
語尾に肯定の意味を含む使い方が本来は正しく、
むしろ「全然~ない」の用法こそ
誤りなのではないか?
会議の席でそう力説したのは木村くん。
用法について調べたのも木村くんだったりするのだが、
彼は、
我々が担当する番組内では、
正しい表記で統一したいと、
そういう信念をもって
会議の議題に取り上げたのであった。
いやはや、日本語というのは
本当に難しいと今さらながら
思い知った出来事だった。
木村に感謝。
この「全然」については、
広辞苑でも大辞林でも
否定語を伴う現在の標準的な用法が先頭にあり、
次いで「あますところなく、ことごとく、全く」の意、
そして語尾に否定語が付かない用法...
という具合に説明されている。
なので、耳障りの善し悪しはあるけれど、
現在の解釈では
どちらの使い方も誤りではないのだろう。
事実、
その会議の際にも
否定派、肯定派で意見は真っ二つだったし。
中には、木村くんに対して、
「余計な議題を持ち込んでくれたな」
という先輩もいて、
木村はしゅんとしていた。
誰が見ても凹んでいた。
その会議の後、
「俺は面白かったし、気にする必要ねーよ(笑)」
とフォローしたのだが、
木村からは、
「いらぬ心配は無用です」と返ってきた。
なので、
それを言うなら
「いらぬ心配です」か
「心配は無用です」だけどね!!
と返したら、
木村は無言。
既読スルーとはこのことか。
もしかすると二重の打ち消しで、
実は「思いきり心配してください」と
言っているのかも?
いやはや、日本語って本当に難しいですね。
「全然」という言葉がある。
一般的には「全然~ない」という具合に、
語尾に打ち消しの意味を伴う用法が
正しいとされており、
「全然おいしい」とか
「全然大丈夫」などの
使い方は誤用が慣用化して
定着したものと言われている。
というか、先日まで
私もずっとそう思っていた。
ところが、
とある作家の後輩が「全然」の用法について
詳しく調べたところ、
明治の文豪はごくごく普通に
「全然正しい」や
「全然同意する」などという文章を残しており、
どうやら「全然~ない」の形で
使われるようになったのは、
戦後らしいということが判明した。
つまるところ、
語尾に肯定の意味を含む使い方が本来は正しく、
むしろ「全然~ない」の用法こそ
誤りなのではないか?
会議の席でそう力説したのは木村くん。
用法について調べたのも木村くんだったりするのだが、
彼は、
我々が担当する番組内では、
正しい表記で統一したいと、
そういう信念をもって
会議の議題に取り上げたのであった。
いやはや、日本語というのは
本当に難しいと今さらながら
思い知った出来事だった。
木村に感謝。
この「全然」については、
広辞苑でも大辞林でも
否定語を伴う現在の標準的な用法が先頭にあり、
次いで「あますところなく、ことごとく、全く」の意、
そして語尾に否定語が付かない用法...
という具合に説明されている。
なので、耳障りの善し悪しはあるけれど、
現在の解釈では
どちらの使い方も誤りではないのだろう。
事実、
その会議の際にも
否定派、肯定派で意見は真っ二つだったし。
中には、木村くんに対して、
「余計な議題を持ち込んでくれたな」
という先輩もいて、
木村はしゅんとしていた。
誰が見ても凹んでいた。
その会議の後、
「俺は面白かったし、気にする必要ねーよ(笑)」
とフォローしたのだが、
木村からは、
「いらぬ心配は無用です」と返ってきた。
なので、
それを言うなら
「いらぬ心配です」か
「心配は無用です」だけどね!!
と返したら、
木村は無言。
既読スルーとはこのことか。
もしかすると二重の打ち消しで、
実は「思いきり心配してください」と
言っているのかも?
いやはや、日本語って本当に難しいですね。