こてっちゃん

2024/09/02

荒木建策(放送作家/脚本家)

4,5日前のこと。
近所のスーパーで
アレが売られていて思い出してしまった。

こてっちゃん…。

こてっちゃんだ。
あー、こてっちゃんだ…。

1パック487円か。
結構高いな、などと思いながら、
遡る25年。

高校生の頃。
ある日、
友人の弁当に、
見たことのないクニャクニャが
入っていた。

「それ、なに?」と、
バカな私は物珍し気に聞く。

「こてっちゃんだよ?」
何がおかしいのかと友人は問う。

「気持ち悪っ」
バカな私は応える。

「えっ?(笑)」
友人は驚きと共に悲しそうな顔をする。

私は
「何かいけないことを言ってしまったか?」
と周囲を見渡す。

25年前の話。
デリカシー皆無で、
デリカシーという言葉も知らなかった私は、
友人のお弁当に
こてっちゃんが入っていたことを
笑ってしまい、
変だとクラス全員に聞こえるくらいの
ボリュームで吹聴してしまった。

そして、今も、
そのことを悔いている。
こてっちゃんを見るたびに、
膝をついて謝りたくなるのだ。

ただ、
ただ、
言いたい。
お弁当にこてっちゃんは変だろ!!
変ですよね?

そして思い出してみる。
そういえば、
変なお弁当、
持ってきてたやついたなと。

1. 羊の心臓
2. 鹿の足
3. ザクロ丸ごと

変ですよね??

こてっちゃんは、
今では、大好きです。

何の話?
401回目。