セクシーウォーク

2024/10/14

荒木建策(放送作家/脚本家)

言論の自由とは名ばかりで、
何かと縛りの多い世の中だから、
せめてここでは好きなことを
書かせてくれ、
言わせてくれよと、
テレビの仕事では絶対に見せないというか
見せたくない私の一面を曝け出してもいいのが
このコラムであると勝手に思い込み、
カミングアウトする。

ただ、ひたすら、
男性が謝っているという駄作でした。
先日観たエロ動画が。

全く興味のない女子や、
食事中の方もいると思われるので
詳しい内容は控えるが、
とにかく、しきりに、
男優が謝っているのである。

何かアクションを起こすたびに
「すみません」と言われたら、
観ている方のテンションは下がる一方。
早回しで、
男性がひたすらぺこりぺこりと
女優に向かって謝り続ける姿を観たのち、
すっと、右上のxを押した。

あの肩透かし振りにはヤラれたが、
思い出すと、
学生時代、ビデオレンタル店で
バイトしていたときに観たビデオの中には、
あり得ない肩透かしを食らわせてくる
作品が数多くあった。

中でも印象的だったのが
『芸能人激似』というタイトルで
複数人のセクシー女優が出演している作品。
全然似ていないじゃないか、
という方向性の肩透かしではない。
なんと、
全編、全ての女優の顔に
モザイクが掛かっているのだ。

怒りとか戸惑いとか、
全ての感情を通り越して、
笑ってしまった記憶。

他にも、
インパクトのある内容の作品が
その当時でもゴロゴロあったエロ業界。
常人では、理解できない
ジャンルや内容のものも「山」ほどあった。
それこそ、
あの有名男優、しみけん氏は、
「山」との絡みを求められたこともあると
話していたし。

当時でも、
そんなの誰が観るんだよ、
と思うような作品がごまんとあったが、
昨今のDEIの流れによって、
エロ作品の多様化、細分化は
進んでいくのではないだろうか。

欧米では、様々な企業が
いわゆる「WOKE」しているが、
その波が日本のエロ業界をも飲み込むのは
もはや時間の問題。

そんなWOKEした制作会社が
どんな作品を生み出していくのか、
今から楽しみにしているというのが、
今回の私のカミングアウトである。