本当は教えたくない...

2024/11/11

荒木建策(放送作家/脚本家)

SNSなどを見ていると、
本当は教えたくないラーメン屋とか
本当は教えたくない隠れ居酒屋などという
謳い文句で興味を引こうとしているものが
多々アップロードされている。

「じゃあ、教えるなよ!」
と、一人でツッコんでいたりするのだが、
「教えたくない」と感じているからには、
その理由がなくてはならないわけで、
「では、どうして教えるんですか?」と
思ってしまうのが、
ひねくれ王子の異名を持つ私の思考だ。

とは言いつつも、
そんなタイトルで釣っている動画は観るし、
徹底的に嫌いってほどではないが、
嫌悪感を抱いているのは本音。

検索サイトで、
"本当は教えたくない"とだけ入力してみると、
本当にいろいろな検索結果が表示される。

書籍やブログ、コラムやまとめサイト...
検索結果数は、約600,000件。
「​​​​​​​本当は教えたくない」が
どれだけ多用されているか分かる。

それぞれのサイトを見ていくと...
いくつかパターンがあることに気付いた。

・​​​​​​​本当は教えたくない美容グッズ(美容関係)
・​​​​​​​本当は教えたくないアプリ(ライフハック系)
・​​​​​​​本当は教えたくないOOの攻略法(裏技系)
・​​​​​​​本当は教えたくないハンバーグ屋(グルメ系)

大体、この4パターンに分けられる。
...ような気がする。

しかし、読んでみると、
教えたくないのに教えざるを得ない理由は
全く伝わってこないし、
意気揚々と教えてくれるのだ。

つまり、彼らは、
「本当は教えたくてたまらない」のである。

結局、販売サイトに誘導したりと、
商材の宣伝を兼ねており、
ただのキャッチとして使っている場合が
ほとんどだからということもある。
それは、分かる。

私が、最も嫌悪するのは、
4つのパターンの最後に挙げた、
グルメ系の場合である。
これが一番謎。

飲食店に限らず、
レシピや食材など、
美味しい食べ物を他人と共有したいのが、
普通の人間の思考なのではないか?

飲食店を経営していて、
レシピを公開するのが難しかったり、
特別な量の限られる材料を仕入れて
使っている、などの場合は別だが、
素人が「​​​​​​​本当は教えたくない」と考えるのは、
私にとって相当な謎思考。

私は昔、リアルの世界で
「​​​​​​​本当は教えたくない​​​​​​​んだけどさー」
という枕から、
知りたくもない飲食店の情報を
教えられたことがある。

自分が入れなくなるかも知れないからとか
何か理由を付けていたが、
こんな汚い価値観を持っている人とは
付き合っていけないと思った。

これがきっかけで、
きっぱり縁を切らせていただいたことは、
​​​​​​​本当は教えたくない
私の過去の交友関係であるのだが、
皆さん、
「​​​​​​​本当は教えたくない」の多用には、
本当にご注意ください。