気休めとしてのティラノサウルス
2024/12/30
荒木建策(放送作家/脚本家)
先月のこと。
新橋の割烹で学生時代の陸上競技仲間と
お酒を飲む機会があった。
その席で、
誰かが「白子ポン酢」を注文したのだが、
高校時代の同級生が
「俺は白子はちょっと」と遠慮したため、
もしやと尋ねると、
やはり痛風持ちなのだと言う。
痛風と診断されてからは、
プリン体を多く含む食品をなるべく避け、
好きなビールを我慢した甲斐あって、
最近は発作は起きていないというが、
聞くと噂通りの激痛。
ところが痛風に効く薬などなく、
自然治癒を待つしかないのだという。
要は「痛みが引くまでは何とか我慢しなさい」
ということだ。
さらに、痛風は再発する可能性が高く、
痛みが引いたことに喜んで、
食生活を元に戻すと忘れた頃に再発し、
痛みに耐えかねて節制すると発作がおさまり、
再び不摂生な食生活に戻ると忘れた頃に...
というイタチごっこが延々と続くらしい。
今でもマラソンに出場を続ける彼が
よもや痛風になど...と思ったが、
なんでも、乳酸が溜まりやすいスポーツは
腎臓の負担になってしまうため
尿酸値も上がりやすいのだという。
そのため、痛風の発作は
夏場に起こることが多いのだそう。
そして、遺伝の要素もかなりある、と。
同級生から痛風の報告を受けたのは、
今年に入って2度目。
どちらも私と同じような体格であるため
少し恐ろしくなり、
遺伝でのアドバンテージを信じて父に聞くと、
まさかの痛風経験者で、
祖父は40代の頃から痛風を患い、
何度も仕事を休んでいたとの
事実を知らされた。
「これは、いけない」
痛風のピークは夏場らしいが、
冬場も寒さによる血行不良や
年末年始の暴飲暴食などにより
発作が起こりやすくなるのだという。
暴飲暴食...
何を隠そう私の実家では、
年末年始にこれでもかというほどの
贅沢をするのが恒例。
酒もありとあらゆる種類を浴びるほど飲む。
いよいよ、マズい気がしてきたので、
予防方法を調べていたのだが、
肉食恐竜の「ティラノサウルス」も
痛風に苦しんでいた、
という雑学の方に目が向いた。
「なるほど、あのティラノですら...」
と、多少の気休めになったのであるが、
さらに「痛風持ちだった偉人」として
ルター、ミケランジェロ、ダ・ヴィンチ、
ダンテ、ゲーテ、ニュートン、ダーウィン、
その他大勢の歴史的人物が枚挙されていて、
なんだかもう、諦めの感情が沸いてきた。
最近は、鶏の胸肉と笹身ばかり食べていたし、
正月くらいは、
好きなもん食べて、好きなもん飲んでも
バチは当たらんのではないか。
そうですよね?
ここで痛風の報告をする日が来たら、
笑ってやってください。
ということで、
今年もご拝読ありがとうございました。
皆様、よいお年を!
先月のこと。
新橋の割烹で学生時代の陸上競技仲間と
お酒を飲む機会があった。
その席で、
誰かが「白子ポン酢」を注文したのだが、
高校時代の同級生が
「俺は白子はちょっと」と遠慮したため、
もしやと尋ねると、
やはり痛風持ちなのだと言う。
痛風と診断されてからは、
プリン体を多く含む食品をなるべく避け、
好きなビールを我慢した甲斐あって、
最近は発作は起きていないというが、
聞くと噂通りの激痛。
ところが痛風に効く薬などなく、
自然治癒を待つしかないのだという。
要は「痛みが引くまでは何とか我慢しなさい」
ということだ。
さらに、痛風は再発する可能性が高く、
痛みが引いたことに喜んで、
食生活を元に戻すと忘れた頃に再発し、
痛みに耐えかねて節制すると発作がおさまり、
再び不摂生な食生活に戻ると忘れた頃に...
というイタチごっこが延々と続くらしい。
今でもマラソンに出場を続ける彼が
よもや痛風になど...と思ったが、
なんでも、乳酸が溜まりやすいスポーツは
腎臓の負担になってしまうため
尿酸値も上がりやすいのだという。
そのため、痛風の発作は
夏場に起こることが多いのだそう。
そして、遺伝の要素もかなりある、と。
同級生から痛風の報告を受けたのは、
今年に入って2度目。
どちらも私と同じような体格であるため
少し恐ろしくなり、
遺伝でのアドバンテージを信じて父に聞くと、
まさかの痛風経験者で、
祖父は40代の頃から痛風を患い、
何度も仕事を休んでいたとの
事実を知らされた。
「これは、いけない」
痛風のピークは夏場らしいが、
冬場も寒さによる血行不良や
年末年始の暴飲暴食などにより
発作が起こりやすくなるのだという。
暴飲暴食...
何を隠そう私の実家では、
年末年始にこれでもかというほどの
贅沢をするのが恒例。
酒もありとあらゆる種類を浴びるほど飲む。
いよいよ、マズい気がしてきたので、
予防方法を調べていたのだが、
肉食恐竜の「ティラノサウルス」も
痛風に苦しんでいた、
という雑学の方に目が向いた。
「なるほど、あのティラノですら...」
と、多少の気休めになったのであるが、
さらに「痛風持ちだった偉人」として
ルター、ミケランジェロ、ダ・ヴィンチ、
ダンテ、ゲーテ、ニュートン、ダーウィン、
その他大勢の歴史的人物が枚挙されていて、
なんだかもう、諦めの感情が沸いてきた。
最近は、鶏の胸肉と笹身ばかり食べていたし、
正月くらいは、
好きなもん食べて、好きなもん飲んでも
バチは当たらんのではないか。
そうですよね?
ここで痛風の報告をする日が来たら、
笑ってやってください。
ということで、
今年もご拝読ありがとうございました。
皆様、よいお年を!