レシートグシャ

2025/01/20

荒木建策(放送作家/脚本家)

親ガチャ、国ガチャ、身長ガチャ、顔面ガチャ、
配属ガチャ、自治体ガチャ、先生ガチャなど、
最近では、
人生における運要素を「ガチャ」と
表現することが多くなった。

そんな中、
前回は健全たる玩具、カプセルトイとしての
「ガチャ」について書かせていただいたのだが、
今回綴るのは、
私が忌み嫌う「グシャ」についてなのである。

「グシャ」などというオノマトペを
使用する状況に想像を巡らせてみると、
どれもろくでもないものなのだが、
最もろくでもないのは、
「レシートグシャ」なのである。

先日、
ここ十数年ほどで都内に急増した
食料品店で買い物をした。
お会計の後、商品を受け取り
「ありがとうございます」と言い残して
出口の方へ向かったのだが、
背後から...

「グシャグシャグシャグシャ...」

そんな音がした。
なんの音かはすぐに察しがついた。

「レシートを握りつぶす音」

湧いてきた感情は「怒」。
「この野郎、ぶん殴ってやろうか」くらいには、
猛烈な怒りを覚えたが、
そこは決して振り返らず、決して動じず。
すっと退店して事なきを得た。

実は、まいばすでレシートグシャをやられたのは、
同店舗ではないが今回で3度目。
仏でも限界とされる3度である。
毎回、やられた行為の割には
やけに腹が立つので、
皆はんは、どないやねんと調べてみると
某知恵袋にこんな投稿があった。

「お客さんがレシート要りませんと言ったら、
お客さんの前でレシートぐしゃぐしゃにする
店員をどう思いますか?」

私の状況とは少し違うし、
投稿主の方がより不快と思われる事態。
にも関わらず、
店員を擁護する声もちらほらある。

なんでも、
レシートを管理するのは客側の役目。
それを放棄して店員に手間をかけているのだから
どんな扱いをされても仕方がない、とのこと。
なるほどね...。
レシートを管理するのは客の役目...。
その役割を怠ったのだから、
レシートグシャはやられて当たり前なんだなぁ
って思えるかコノヤロー。

だから、4度目はこうしよう。
グシャが行われた瞬間にくるっと振り返り
「あ、レシート」と言いながらレジまで戻って
「レシートもらえますか?」

気まずい空気が場を包み込むことは間違いないが、
カウンターの店員へのカウンターになることも
また、間違いないだろう。
さらに、ネームプレートを見ながら、
「OOさんね...」などと呟いてみるのも
いいかも知れない。

4度目が起こった場合は、
またこちらで報告させていただきます。

それにしても、
何故、紙を握りつぶす音というのは、
ああも不快なのだろう。

赤ちゃんは、
新聞紙をグシャグシャにしている音を聞くと
泣き止むというから、
グシャグシャ音による嫌悪感は
後天的な要因によるものなのかも知れない。