BARのすゝめ
2025/04/07
荒木建策(放送作家/脚本家)
会議で滑った夜は、
飲み屋に寄ることが多いが、
大人になるほど夜はしっとりと酒を飲める
「BAR」に寄りたくなる。
探偵はBARにいるのだが、
売れない作家もBARにいるのだ。
BARの魅力はやはり、
バーテンダー。
その人柄に魅了されて人が集まる。
「〇テレに、
関口メンディーのドキドキ動物ランド、
っていう企画を持ち込んだら、
ボツになったんですけど、
バーテンさん、どう思いますか?」
「申し訳ありません.
私の口からは、なんとも…」
渋い口調で一歩下がって
客を不快にさせることなく
話を終わらせてくれる。
これがバーテンの技術である。
放送作家を始めたばかりの頃は
安いだけが取り柄の
チェーン居酒屋のカウンターで、
大学生がバカ騒ぎする声を背中で聞きながら
ひとりで飲んでいた。
松本清張の小説だけが友達だった。
今は年齢がそれを許してくれないから、
落ち着いたBARを好む。
薄暗い店内に並ぶ見慣れない酒が
大人をドキドキさせ、
一日の終わりと同時に
明日の希望と憂鬱が交じるのだ。
そこに酒が加わって、
気分の針がどちらに振れるかは
その日のあなた次第で、
どちらになろうが受け入れるだけ。
少量の酒をゆっくりと時間をかけて飲み、
何かを考えたり、
次の会議に向けて企画を模索したり、
連れがいるなら落ち着いて話したり、
大人になった今だからこそ体験できる
空間に今日も酔う。
仕事で下手打った帰りにひとりでも、
恋人同士でも、
守護霊を連れてでもいいから
BARに寄ってみてはどうだろう。
グラスを傾けながら、
一日を振り返るのもいいものだろう。
BARと一口に言っても、
中には地下や店内が見えない店があって、
一見客は入りづらい雰囲気がある。
「ラーメン屋や牛丼屋はよく入るんだけど、
なかなか入りづらいよ」と、
バーテンさんに言ったら
こんな答えが返ってきた。
「入りづらいのがBARなんです。
そこで勇気を出してもらって入った先の
空間を楽しんでもらえれば幸いです」
なるほど。
それが、粋というものなのか。
なのか?
でも、たしかに、
飛び込んでみて後悔したことは
いまだかつてない。
やまだかつてない、
さあ、あなたも閉ざされた扉を開けてみよう。
そして、一緒に飲もう。
トランプ政権の話なら3時間はいける。
乾杯!
会議で滑った夜は、
飲み屋に寄ることが多いが、
大人になるほど夜はしっとりと酒を飲める
「BAR」に寄りたくなる。
探偵はBARにいるのだが、
売れない作家もBARにいるのだ。
BARの魅力はやはり、
バーテンダー。
その人柄に魅了されて人が集まる。
「〇テレに、
関口メンディーのドキドキ動物ランド、
っていう企画を持ち込んだら、
ボツになったんですけど、
バーテンさん、どう思いますか?」
「申し訳ありません.
私の口からは、なんとも…」
渋い口調で一歩下がって
客を不快にさせることなく
話を終わらせてくれる。
これがバーテンの技術である。
放送作家を始めたばかりの頃は
安いだけが取り柄の
チェーン居酒屋のカウンターで、
大学生がバカ騒ぎする声を背中で聞きながら
ひとりで飲んでいた。
松本清張の小説だけが友達だった。
今は年齢がそれを許してくれないから、
落ち着いたBARを好む。
薄暗い店内に並ぶ見慣れない酒が
大人をドキドキさせ、
一日の終わりと同時に
明日の希望と憂鬱が交じるのだ。
そこに酒が加わって、
気分の針がどちらに振れるかは
その日のあなた次第で、
どちらになろうが受け入れるだけ。
少量の酒をゆっくりと時間をかけて飲み、
何かを考えたり、
次の会議に向けて企画を模索したり、
連れがいるなら落ち着いて話したり、
大人になった今だからこそ体験できる
空間に今日も酔う。
仕事で下手打った帰りにひとりでも、
恋人同士でも、
守護霊を連れてでもいいから
BARに寄ってみてはどうだろう。
グラスを傾けながら、
一日を振り返るのもいいものだろう。
BARと一口に言っても、
中には地下や店内が見えない店があって、
一見客は入りづらい雰囲気がある。
「ラーメン屋や牛丼屋はよく入るんだけど、
なかなか入りづらいよ」と、
バーテンさんに言ったら
こんな答えが返ってきた。
「入りづらいのがBARなんです。
そこで勇気を出してもらって入った先の
空間を楽しんでもらえれば幸いです」
なるほど。
それが、粋というものなのか。
なのか?
でも、たしかに、
飛び込んでみて後悔したことは
いまだかつてない。
やまだかつてない、
さあ、あなたも閉ざされた扉を開けてみよう。
そして、一緒に飲もう。
トランプ政権の話なら3時間はいける。
乾杯!