おしぼりダイアリー
2025/06/30
荒木建策(放送作家/脚本家)
店員からおしぼりを手渡されるのが、
酒場におけるルールの
一環のようになっているが、
もらったおしぼりを手に
ぼんやりしてしまうのは、
どうやらまだ
大人になりきれていないのが
理由のようである。
おしぼりで拭いたぐらいでは、
目に見える汚れは落ちても、
目に見えぬ汚れまではぬぐえない。
我々に本当に必要なのは、
おしぼりではなくミューズか
キレイキレイか、
ファブリーズである。
例えば、焼肉。
こっちは炭やにんにくの臭いで
穢されているのだから、
「ありがとうございました」の言葉とともに、
薬用石鹸と消臭剤を用意しておくのが
本当の意味でのサービスではないかと、
手にしたおしぼりを持て余す私の横で、
優しい目をしたお爺さんは
堂々とぬぐっていた。
顔、首筋、脇の下、
慣れた手付きで
ゴシゴシ擦ったその後に、
ズボンの中におしぼりを突っ込み、
股間を堂々とぬぐっていた。
手の汚れなど、
汚れの世界では
脇役だと言わんばかり、
一心不乱に股間をぬぐっていた。
そうか、おしぼりは
手をぬぐうだけのものではなかったのだ。
酒や煙草の臭いではなく、
おしぼりこそが大人か子供かを
最も簡単に見分けるリトマス試験紙。
リトマス試験紙なんや。
最近、
というか昨日までの話。
佐世保南高時代の友人、
吉田くんが上京していたのだか、
一緒に行ったジンギスカン屋さん。
おしぼりを渡してくれた店員さんが
男はももちろん、
女でもびっくりするほどの巨乳で、
彼は、飲んでいる最中、
「東京スゲー」を連発していた。
おしぼりのタイミングで、
店員さんの巨乳に気付ける嗅覚、
ゴイゴイスー。
おしぼりで股間をぬぐえる
おじさんには
及ばないかも知れないけど、
ちょっと尊敬した。
吉田くんVS股間おじさん。
おしぼりはドラマを生み出す。
私も躊躇することなく股間をぬぐえる、
立派な大人に早くなりたい
…だなんて思うわけないだろバカ野郎。
お爺さん、
回り回って私が手にする可能性もある
おしぼりなんだから、
股間とかホント勘弁してください。
店員からおしぼりを手渡されるのが、
酒場におけるルールの
一環のようになっているが、
もらったおしぼりを手に
ぼんやりしてしまうのは、
どうやらまだ
大人になりきれていないのが
理由のようである。
おしぼりで拭いたぐらいでは、
目に見える汚れは落ちても、
目に見えぬ汚れまではぬぐえない。
我々に本当に必要なのは、
おしぼりではなくミューズか
キレイキレイか、
ファブリーズである。
例えば、焼肉。
こっちは炭やにんにくの臭いで
穢されているのだから、
「ありがとうございました」の言葉とともに、
薬用石鹸と消臭剤を用意しておくのが
本当の意味でのサービスではないかと、
手にしたおしぼりを持て余す私の横で、
優しい目をしたお爺さんは
堂々とぬぐっていた。
顔、首筋、脇の下、
慣れた手付きで
ゴシゴシ擦ったその後に、
ズボンの中におしぼりを突っ込み、
股間を堂々とぬぐっていた。
手の汚れなど、
汚れの世界では
脇役だと言わんばかり、
一心不乱に股間をぬぐっていた。
そうか、おしぼりは
手をぬぐうだけのものではなかったのだ。
酒や煙草の臭いではなく、
おしぼりこそが大人か子供かを
最も簡単に見分けるリトマス試験紙。
リトマス試験紙なんや。
最近、
というか昨日までの話。
佐世保南高時代の友人、
吉田くんが上京していたのだか、
一緒に行ったジンギスカン屋さん。
おしぼりを渡してくれた店員さんが
男はももちろん、
女でもびっくりするほどの巨乳で、
彼は、飲んでいる最中、
「東京スゲー」を連発していた。
おしぼりのタイミングで、
店員さんの巨乳に気付ける嗅覚、
ゴイゴイスー。
おしぼりで股間をぬぐえる
おじさんには
及ばないかも知れないけど、
ちょっと尊敬した。
吉田くんVS股間おじさん。
おしぼりはドラマを生み出す。
私も躊躇することなく股間をぬぐえる、
立派な大人に早くなりたい
…だなんて思うわけないだろバカ野郎。
お爺さん、
回り回って私が手にする可能性もある
おしぼりなんだから、
股間とかホント勘弁してください。