諦めが生んだケモノ
2025/09/29
荒木建策(放送作家/脚本家)
そこに流れていた雰囲気は、
どうしようもない「諦め」であった。
先週の京都に続き、
今週は伊東に行ってきた。
田久保の件で揺れるあの伊東である。
なぜ、この時期に伊東かというと、
京都旅行で足りなかったものは何か、
と考えたときに真っ先に思いついたのが
「温泉」だったからだ。
京都にも温泉旅館は少なからずあるが、
いかんせんお高い。
一泊5万円が普通。
伊東なら1万円台で
結構良い温泉旅館に宿泊できる。
ということで伊東へ。
そういえば、去年は熱海に行った。
伊東と同じように
バブル期に栄えた「終わった観光地」という
イメージだったのだが、
駅前は人でごったがえし、
月イチのペースで開催している花火の日には、
ホテルを取ることもままならないほどの
完全復活を遂げていたのだった。
だから、伊東にもそれを期待した。
伊東駅に着き、ホテルへ向かう。
メインストリートを通るが、
5軒に4軒はシャッターが閉じている。
開いているのは、ほぼ飲食店。
あと、床屋。
バブル崩壊と共に終わって、
一度終わったのに復活した熱海と
終わって、
終わりっぱなしの伊東。
対極をみた気がした。
ところがだ。
いざ温泉に浸かってみると、
期待の上をいく素晴らしさ。
泉質どうこうは良く分からないのだが、
ずっと浸かっていたいと思った温泉は
初めてかもしれない。
それから「うずわ飯」。
うずわは、ソウダガツオという
カツオより少し小ぶりな魚の地方名なのだが、
うずわ飯は、
これをたたきにして青唐辛子と混ぜ、
ご飯に乗せて食べる丼もので、
言い過ぎではなく、
今まで味わったどんな魚介料理よりも絶品。
私は、温泉とうずわ飯だけで、
また、伊東に行く価値があると思った。
しかし、
街や地元民たちに
伊東を再び賑わっていたあの頃にしようという
気概は一切感じられないのは何故か。
両手に名刀を持ちながら
敗走している侍を見ているような感覚。
ああ、この街の人は諦めているんだ。
戻る、戻すことを。
その諦めが田久保のような市長を生んだのだ。
そう考えたら、なんかしっくりきた。
そこに流れていた雰囲気は、
どうしようもない「諦め」であった。
先週の京都に続き、
今週は伊東に行ってきた。
田久保の件で揺れるあの伊東である。
なぜ、この時期に伊東かというと、
京都旅行で足りなかったものは何か、
と考えたときに真っ先に思いついたのが
「温泉」だったからだ。
京都にも温泉旅館は少なからずあるが、
いかんせんお高い。
一泊5万円が普通。
伊東なら1万円台で
結構良い温泉旅館に宿泊できる。
ということで伊東へ。
そういえば、去年は熱海に行った。
伊東と同じように
バブル期に栄えた「終わった観光地」という
イメージだったのだが、
駅前は人でごったがえし、
月イチのペースで開催している花火の日には、
ホテルを取ることもままならないほどの
完全復活を遂げていたのだった。
だから、伊東にもそれを期待した。
伊東駅に着き、ホテルへ向かう。
メインストリートを通るが、
5軒に4軒はシャッターが閉じている。
開いているのは、ほぼ飲食店。
あと、床屋。
バブル崩壊と共に終わって、
一度終わったのに復活した熱海と
終わって、
終わりっぱなしの伊東。
対極をみた気がした。
ところがだ。
いざ温泉に浸かってみると、
期待の上をいく素晴らしさ。
泉質どうこうは良く分からないのだが、
ずっと浸かっていたいと思った温泉は
初めてかもしれない。
それから「うずわ飯」。
うずわは、ソウダガツオという
カツオより少し小ぶりな魚の地方名なのだが、
うずわ飯は、
これをたたきにして青唐辛子と混ぜ、
ご飯に乗せて食べる丼もので、
言い過ぎではなく、
今まで味わったどんな魚介料理よりも絶品。
私は、温泉とうずわ飯だけで、
また、伊東に行く価値があると思った。
しかし、
街や地元民たちに
伊東を再び賑わっていたあの頃にしようという
気概は一切感じられないのは何故か。
両手に名刀を持ちながら
敗走している侍を見ているような感覚。
ああ、この街の人は諦めているんだ。
戻る、戻すことを。
その諦めが田久保のような市長を生んだのだ。
そう考えたら、なんかしっくりきた。