Tシャツ沼

2025/11/03

荒木建策(放送作家/脚本家)

先週、
Tシャツを10枚も買ってしまった。

巷ではヴィンテージTシャツが
流行っているらしく、
10日前に一度、
Tシャツにはまっているタレントの
YouTubeを観てからこっち、
私のYouTube画面に出てくるオススメ動画は
半分が二子山部屋、
もう半分がヴィンテージTシャツ動画と
なっているのである。

軽く勉強したところ、
ヴィンテージTシャツと一口に言っても
様々なジャンルがあり、
音楽系、映画系、アニメ系、企業系など
収集家によって好みが分かれるのだそう。

音楽系で人気なのは、
ニルヴァーナやビョークのTシャツ。
映画系はLEON、SEVENなど。
アニメはルパンはもちろん、
エヴァ、ジブリも人気がある。
企業系はハーレーダビッドソンとか。

ヴィンテージだから、
もちろん高額で、
聞いた中で最も高いのは『AKIRA』のTシャツ。
1着なんと80万円。

『AKIRA』は海外でも人気が高いらしく、
1988年のアニメ映画公開当時のものだと
綺麗な状態で現存しているものが少なく、
貴重なのだとか。

正規品はもちろん高いのだが、
面白いのは、
コピー品(ブート品)の方が高い場合があること。
正規品より良い生地を使っていたり、
プリントが丁寧だったりするらしい。
当時の無地のTシャツを買い、
それにプリントを施し、
ヴィンテージとして販売するパターンもあり、
本物より高価ということも多いという。

タレントたちが語る動画を山ほど観たせいか、
私もどうやらTシャツ沼にハマったらしく、
アニメ系、バンド系を中心に、
先週だけで10枚ものTシャツを買ってしまった、
というわけなのである。
もう、ほとんど冬なのに。

しかも、全部半袖。
これらを着るのは多分半年以上あと。
置き場に困ることを想定して
買ってしまったラックに、
半年間、飾られるだけのTシャツたち。

半年後、
私はまだ沼から出られずにいるのだろうか?
着る前に抜け出していたら
目も当てられないし、
よく考えたら古いだけの
図柄がプリントされた布。

幸い、そんなに高いモノは買っていないし、
沼に浸かっているのは、
体感くるぶしくらいまでなので、
抜けるなら今なのかも知れない。